星里もちる「怪獣の家」全2巻。
「あー、星里さんの本だ。そういや久しく読んでなかったけど、ちょっと面白そう。買っちゃえー」
と本屋で全く予定外に1、2巻とまとめて衝動買いをしまして。
家に帰って、ちょっと頭の方だけ軽く目を通してみようかとパラパラめくっていたのですが。
気がついたら2巻の最終話まで読み終わってグシグシと泣いていました。
漫画読んで泣いたのは、かなり久しぶりかもしれません。
自分の住んでる家が、怪獣映画で壊される家のモデルに使われることになった主人公・福田(男)。
その映画に出てくる家に住んでみたいと押しかけてきた怪獣マニアの小雨(女)。
その映画に出演するための役作りにと同居を願い出るアイドルの由希(女)。
映画が完成するまでという約束で始まった、この三人の奇妙な同居生活から話が始まります。
福田は交通事故で両親と妹を亡くし、その家に一人で住んでいたのです。
事故の直前まで妹と喧嘩をしていた自分を許せずにいる福田。
そんな姿に徐々に心を寄せていく小雨と由希……。
1巻までは見事なラブコメだと思ってたんです。
主人公(?)に絡む女の子二人が実に愛らしいんですよ。いや、見てくれだけじゃなくて、心が。
この辺はまさに星里さんの人物描写の真骨頂。読んでてほのぼのします。
ですが、福田の自責の念が徐々に心を苛み始め、お話にだんだん暗い影がさしてきます。
ぎくしゃくした三角関係が崩れ始め、離ればなれになる三人。
過去に向き合えず、逃げ出すように家を引き払うことを決めた福田。
しかし、映画の完成試写を見た小雨と由希は、そんな福田のためにある決意を固めます……。
全2巻で完結。2時間もあれば余裕で読めます。
なんつーか、自分でもどこまで紹介できてるか全く自信がないんですが、これはもう文句なしに面白いです。絵柄やラブコメに抵抗がなければ、心からお薦めします。
「危険がウォーキング」の頃からひそかにファンを続けていましたが、やっぱり星里もちるさんはいい話書いてくれますよ! ほんと、絶品です。
そういや「ルナハイツ」が映画化されるそうですけど、映画の舞台裏も描いているこの「怪獣の家」こそまさに映画化してもらいたいですね。ドラマじゃなくて、映画で。それくらいの価値は充分にありますから。
いやー、ほんと、衝動買いしてよかった。えらいぞ、私!(←オチがこれかい)