SNSは得意じゃないけど

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小寺信良さんの文章が好きなので各所で読んでいるのですが、その小寺さんのブログに「SNSの甘さ」という記事がありました。読んでいたらいろいろと思うところがあったので、少し書いてみたいと思います。


ご多分に漏れず私もmixiなどに入っていたりするのですが、(誘ってくれた友人には申し訳ないんだけど)ほとんど積極的に参加はしていません。せいぜい数少ない友人の日記なぞをたまに読んだり、時々メッセージをやりとりしたりする程度にとどまっています。
その理由は2つあって、ひとつは私がいわゆる「友達関係」を不得手としていること。まあぶっちゃけた話、人付き合いが下手だということなんですが(汗) 広く浅くという付き合い方ができないので、どこかでお知り合いになった人とすぐ「友人関係」になったり、あまつさえ自分の友人リストをでーんと公開したり、という行為にはどうしても抵抗感を覚えてしまうのです。何というか、こう……そんなに濃い付き合いもしていないのに「私の友人です」なんて公開しちゃっていいもんなんだろうかとか、そういう変な責任を感じてしまうというか。あの公開リストさえなけりゃあな、といつも思うんですが、それではSNSの面白さも激減してしまうのでしょうから、まあそれはしかたないことにしています。
そして理由のもうひとつは、逆説的になりますがその「居心地の良さ」からです。
mixiに入った直後は誰もがそうするようにコミュニティを巡ったり友人のマイミクリストを渡り歩いてみたりとかいろいろと試していたのですが、これが実に楽しかったのです。往時のニフティサーブのような安定感や安心感に加えて、ありとあらゆる話題が提供されるコミュニティ群、ちょっとしたアプローチで広げようと思えばいくらでも広がる交友関係。これはたしかに面白い。そう思いました。でもその一方で、頭の隅っこでは警報が鳴ったのです。「ヤバいぞ、これははまったら抜けられなくなるぞ」と。
日記を書きレビューを書き、コミュニティに参加し友人の日記を読みコメントをつけメッセージを送りあい、等々。やり始めたらきっと楽しくてしかたがないことでしょう。でも、それをやったら多分自分はmixi無しではいられなくなる、そこに精神が“依存”してしまいかねない……そういう危うさを感じて、私はmixiに深入りしないことに決めたのです。
小寺さんが記事で指摘している「甘さ」というのは、私がmixiに感じた麻薬のような「居心地の良さ」とは微妙に違うものですが、ネット上の閉鎖的なコミュニティが精神的な依存やもたれ合いを生みやすいという点については私も理解できます。
こう書くと気を悪くする人がいるかもしれませんが、mixiでは実社会や“開いた”ネットワーク上ではちょっと見られないような愚痴や弱音にあふれた日記をよく目にすることがあります。そして、そういう日記にはたいてい友人たちの心優しいフォローが続いていたりするものです。
もちろん、それが一概に悪いことだとは言えません。友人たちに心の内を聞いてもらいたい、という気持ちもわかりますし、それを読んだ人がフォローしてあげようとする気持ちもわかります。ですが、そういう日記を見るにつけ小寺さんがいう「甘さ」を感じてしまうのも事実ですし、

だが、日々の日記で怒りを発散させたり、コメントに書き込まれるなぐさめの言葉で昇華させてしまっては、行動に結びつかない。そういう具合に回転してしまっているSNSのあり方は、不幸だ。

という意見にもうなずけるものはあるのです。
もっとも、昨今SNSがこれだけ流行っているのは、そういった「甘さ」も含めた上でのことなのでしょう。良くも悪くも「居心地がいい」からこそ、SNSというシステムは多くの人に支持されているのだと思います。

人生いつまでも、おもしろおかしく生きていくことなどできない。やさしくしてくれる人だけを友達と思ってはならない。

厳しい言葉ですが、たしかにそのとおりです。でも、現実を突きつける諫言ばかり聞かされてもやってられない時だってありますし、どこかで毒を吐いておかねばたまらない時だってあるものです。
要は、SNSにあるそういった「甘さ」を自覚しつつも、それに依存しないことが大事なのでしょう。何を書くにしても、SNSはあくまで言葉を交わすだけの社交場であって、行動するのは現実にある自分自身であること。それさえ忘れなければいい、ということではないでしょうか。
……って、こんなことはそれこそパソコン通信の頃から言われてたことですけどね(苦笑)
さてさて、こんなことを書いている間に新しいSNSから招待状が送られてきました。その名も格闘技専門SNS 『格闘技ズキ』……好きだねぇ、私も(笑)
まあ、専門が専門だけに「甘さ」とは無縁の世界だとは思いますが、社交場の一員として節度をもって臨みたいと思います。

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