無我に我は無く、レスラーは我を見せる

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8・2「新無我伝説 エピローグ」、がっつりと観させてもらいました。
いやー、何というか、スルメのごとき味わい深い興行でありました。
正直言って、試合内容はあまり覚えていません(苦笑)
というか、試合を観るというより選手自体のムーブこそが見物だったので、ぶっちゃけ勝ち負けとかはあんまし関係なかったのです。
というわけで、以下は観戦記というよりただの感想です。


「プロレスとは、レスラーの生き様を見せるものである」
と西村修は常々口にしていますが、そういう観点で観れば今回の興行は実に興味深いものでした。
「無我」というと、テクニック重視でグラウンド中心のレスリングという印象がありますが、それが従来の無我であるなら、今日の興行はまさに「新・無我」と言えるでしょう。関節技あり、激しい打撃戦あり、体格を生かした重量攻撃あり、はたまた場外でのイス攻撃もあり。地味なイメージが強かった無我から見れば、かなり派手な印象のあるプロレスでした。
ただ、それでも全ての試合に共通していたのは、「ちゃんとしたプロレス」とでも言うべきものでした。
お互いが自分のスタイルを貫きながらも、決して大きく枠をはみださない。自分勝手はせずに、相手を受け入れてプロレスとして作り上げる。何というか、そんな礼儀正しさのようなものを感じました。
そういう試合ができるのは、やはり個々の選手の経験によるところが大きいのでしょう。「俺が俺が」というプロレスをしていては生み出せない、深いところで手を結び合った「大人のプロレス」。そんなものを見せてもらったような気がします。
それだけに、試合ではいかに個々の選手が自分のスタイルを醸し出すかというところが見物になるわけでして。それぞれの選手が持ち味を生かしたムーブをすると、「おおっ」と歓声が上がるわけです。それが決して派手な技でなくとも、そこに独特の「味」が出ていれば、それで充分受けるのです。
それは、まさにレスラーがレスラーとして積み上げてきたスタイル、突き詰めれば生き様そのもの。
そんな生き様を理解観戦すると、これが実に味わい深い。勝ち負けはどうでもいいから、もっとじっくり見せてくれ、と言いたくなるくらい面白いのです。
ノアや新日ジュニアのようなガツガツとしたぶつかり合いを好む向きには少々退屈かもしれませんが、こういうレスラーの存在感そのものを楽しむプロレスというのも、また良いものです。
団体自体に色(我)は無く、我がままをせずに我を見せ合うレスラーたちの色だけが見える。
これが「新・無我」というものなのかもしれません。
以下、簡単に各試合のコメントをしますと……
第1試合:藤波辰彌vs.マーク・マッカイ
時間の都合があったんだろうけど、もっとじっくりとテクニックを見せ合ってほしかったもんです。
マーク・マッカイには今後に期待。
第2試合:後藤達俊vs.竹村豪氏
後藤が老獪なヒールらしい、いい殺気を出してました。
バックドロップが決まった時点で後藤の勝ち。
セミ:吉江豊vs.長井満也
お互いの持ち味をいかんなく出し合ったいい試合。長井は吉江を無理に投げて腰を痛めた模様。
メイン:西村修vs.ヒロ斉藤
予想外に壮絶な試合。
西村、気合い入ってたのはわかるけどちょっとテンション高すぎかも。
旗揚げ戦でエースが負けるのは新日以来の伝統か?(笑)
といったところで、おしまいです。

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