小泉首相、5度目の靖国参拝 秋季例大祭
産経新聞のこの記事を読んだら妙にカチーンとくるものがあったんで、ひとしきり吠えさせてもらいます。
最初に断っておくと、私は右翼でも左翼でもありません。かなりノンポリです。
それでも、この政府べったりのたいこ持ち記事にはうんざりしました。よくもまぁ、ここまで何も考えてない翼賛的迎合ができたもんですね。メディアとして恥ってもんがないんでしょうか。まあ、それが産経新聞なんだと言ってしまえばそれまでですが。
で。
はっきり言ってしまうと、今回の件も含めて、首相および閣僚が靖国神社に参拝することに私は反対です。右翼左翼、公人私人、合憲違憲とかいうことではなくて、単にそれはアジア各国に誤解(今風に言えば「誤ったメッセージ」?)を与える行動でしかないからです。
瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず。自分は間違ったことはしていないとどんなに主張したところで、疑われるような言動をすれば反発を招きます。しかも、小泉首相は中国や韓国が不快感を示すことを知っていてあえて靖国参拝をするわけですから、これはもうただの嫌がらせです。やってることは奈良の騒音おばさんとほとんど変わりません。事あるごとにこうやって中国韓国の感情を逆撫でしていれば、いくらお詫びをしたところで収まるものでもありますまい。
もっとも、小泉首相は敵を作ることで自分のスタンスを際立たせるのが得意ですから、わざとやっている節もあるんでしょうけど……その理屈が国際社会でも通用するのかどうか、いささか疑わしいものがあります。結局のところ、小泉首相は自身の戦術のために、後世の政府に「冷え切った日中・日韓関係」と「それを回復させるための外交努力」という負債を押しつけていることになるわけですから、無責任なものです。
さて、話を産経の記事に戻します。以下2点引用しますが、まず一つめ。
「靖国で譲れば日中関係が円滑にいくなんて考えるのは間違いだ。靖国参拝の後は教科書、尖閣諸島、石油ガス田…と次々に押し込んでくる」
首相が周囲にこう話すように、仮に靖国問題が解決しても、日中、日韓間に立ちふさがる歴史認識問題がなくなるわけではない。
本当に歴史認識問題を解決したいと思うのなら、靖国問題に蹴りをつけることで少なくとも相手をテーブルにつかせることはできます。そこから押し込まれるかどうかは外交力次第であって、そこで押し負けるならそれは単に日本の外交がヘタレだというだけのことです。別に靖国問題だけで決まることじゃありません。
要するに、今の日本政府は歴史認識を含めた諸問題を真剣に解決するつもりがない、というか有利な条件で解決するだけの自信がないってことの証明でしかないわけです、この発言は。
もうひとつ引用。
いずれにせよ「日本の領土内に、日本の首相が行けない場所があってはならない」(自民党の安倍晋三幹事長代理)のは当然だ。
じゃあ、天皇はどうなんでしょう。
A級戦犯が合祀されて以来、天皇は靖国神社への参拝を見送り続けています(合祀以前は毎年参拝していた)。首相任命権を持った(国民の象徴たる)天皇ですら行けない場所がある、ってことについてはどうお考えなんでしょう、安倍さんは。その理屈を当然だという産経はこの際無視することとして。
歴史的な経緯を考えれば、天皇が靖国に参拝できない方がよほど気の毒な気がしますがね。
なんだってA級戦犯合祀なんかしちゃったんだか。まあそれは別問題なんでここではパス。
で、私なりの意見としては。
国立無宗教の追悼施設を作って、閣僚在任中は靖国の代わりにそっちに行くようにする。それでいいじゃないんでしょうか。
政治家が個人的に靖国に参拝するのは構わないと思いますけど、閣僚であるうちは我慢しておくということで。政教分離をアピールするにはもってこいのポーズだと思うんですが、どうでしょう。
それとも、小泉首相が言う「心の問題」ってのは、もっと複雑なものなんでしょうか。
私にはただの個人的なわがままとしか思えませんけどね。
いじょ。