そこは削るところじゃない

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以下、mixiの自分の日記から転載です。
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衛星ひまわり8・9号、運用を民間委託へ (読売新聞)
んーむ……。
気象予報士の端くれとして言わせてもらうと、ここ数年の気象関係の経費削減には不安を覚えずにはいられんです。
有人の測候所を無人化するとか(観測できる項目が減った)、役立っていた観測所そのものを廃止したりとか(例:筑波山)。そこは削るべきところじゃないだろう、と。


いわんや、これは気象庁ばかりの話でもないけど、一時は現体制の後継となるひまわり8,9号の予算さえ出なくなりそうになったりとか。いったいお偉いさん方は気象予報を何だと考えているのやら。
ぶっちゃけ、気象予報ってのは国防の基本のひとつなんですよ。この場合の「国防」っていうのはドンパチやることだけじゃなくて、気象災害を防ぐという意味もあるんです。富士山レーダー無き今、台風の進路予測は気象衛星なしでは成り立たないというのに、その衛星の予算すら危ぶまれるなんてーのは、気象関係者から見ればあり得ない話なんですよ。
で、今度は衛星の運用を民間に委託するとかいう話。民間の技術を低く見るつもりはないですけど、そこは民間企業に任せる部分じゃないです。国防の基本なんですから、国が責任持ってやるべき仕事なんです。
この辺は、当事者である気象庁自身がわかっていてほしいところなんですけど、自ら率先してケチケチしてるもんだから、どうしようもないですな。
気象データの配信が長時間停止したり、アメダスのデータが収集できなかったりと、必要経費を削り始めた頃から気象庁は(特にデータ関係で)細かいエラーを頻発させています。経費削減とエラー発生との因果関係は正確にはわかりませんけど、監視体制やバックアップ体制は基本的に人件費が関わってくることですから、その辺をケチるとそういうエラーが起こりやすくなるんです。
民間企業のような利潤追求ではなく、必要だから損得抜きで予算を投じるというのが国家予算のいいところなのに、その「必要な」部分を気象庁自体が見失ってる気がしますね。削っちゃいけないところを削って「経費削減しました」と胸を張られても、気象関係者としては困るんです。
なんつーか、こういう結論は安易なんであまり言いたくはないんですけど、これも「小泉改革」の負の部分なんでしょうな。全く、困ったもんです。

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