第32回現代俳句新人賞・勝手にひとり落選展

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第32回現代俳句新人賞、実はひそかに応募しておりました。

で、今日届いた「現代俳句」10月号でその発表があったわけですが……いやぁ、歯牙にもかかりませんでしたね。ははは。

というわけで、勝手にひとり落選展を開催します。いや、恥ずかしいんですけどね。せっかくなので、応募した作品の成仏を願いつつ、さらします。

「異形」

赤き灯のいのちと見ゆる朧かな
あたたかにナイフを濡らす国訛り
壷焼の悪夢引きずり出して食う
デモ隊と催涙ガスと春炬燵
朝寝して解放軍を待ちわびる
蒼き球体陽炎に躍るサーカス
空が哀しくて野遊から帰る
混沌を紡ぐ数式鳥雲に
花吹雪空を征く黄金の船
浅草や和菓子のごとく春夕焼
百人の夜百人の春愁
春雨や亡びし国の子守歌
散る時はメールを送れリラの花
行く春の爪跡残る老女かな
エアプランツのような夏がまた来る
ドーナツの穴から覗けども夏空
鮮やかな孤独に群るる夏の雲
雲の峰立つ青き日のシャングリ・ラ
ソーダ水時を戻してしまいけり
人類と分かれし夜や冷し酒
夏の月赤き電波の匂いさせ
真夜中のシャワーに外す仮面かな
ライオンの欠伸ひとつで梅雨に入る
出目金の罪という字に似ていたり
茉莉花やうなじに細き縄の跡
歯科医のドリル猛威を振るう罌粟の花
道端に立ち尽くす鋼鉄の夏
夏の光自動販売機の沈黙
噴水の風に揺らめくいのちかな
雷の夜生れし言葉を異形とす

……うーん、当人、がんばったつもりだったんですけどね。受賞作と比べると陳腐なのは一目瞭然。まだまだ修練が足りないようです。

顔を洗って、出直してきます。

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