前に勤めていた会社の後輩が、先日突然この世を去りました。
出張先のホテルで、心筋梗塞を起こしたそうです。
私よりも5歳も若いのに、突然死とは……恐ろしいことです。
彼は、実に気の良い男でした。
素直でまっすぐで、純粋な気持ちを持っている男でした。
ただ、それゆえに悩むことも多かったようで、私も何度か相談を持ちかけられたことがありました。
まっすぐであるが故に割り切れず、純粋であるが故に理想を求めてしまう。
会社の中で小ずるく生きていくには、損な性格だったかもしれません。
最後に会ったのは、とあるイベントで偶然に顔を合わせたときでした。
今の仕事を辞めて地元に帰る、と笑いながら話す表情は、今にして思えば、やや疲れていたようにも見えました。
そんな心労の積み重ねが彼の命を削っていったのだとしたら、社会はひどく残酷なところだとも言えるでしょう。
どんなに「いいひと」であっても、死ぬときは死ぬ。
それは変えようもない、世の摂理である、と。
彼の死は、普段は考えもしない、でも揺るがしようもないそのルールを、改めて教えてくれました。
彼のまっすぐな笑顔を思い、
それが二度と見られなくなったことを悔やみ、
いい奴だった男の無念の死を悼み、
心より冥福を祈ります。
願わくば、彼が全ての苦悩から解放されますように。