大雨に思う。

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昨日から各地で続いている大雨。
日本の南海上にある低気圧が、前線に向かって暖かく湿った空気(暖湿流)をポンプのように送り込んで、大気が非常に不安定な状態(対流不安定)になったために起きたものです。
上空に寒気が入ることで起きた8月のいわゆる「ゲリラ豪雨」とは構造的に違うもので、現象としては決して「異常気象」と呼べるほど珍しいものではありません。低気圧を台風に置き換えれば、9月10月でもたびたび起きることです。間違っても「地球温暖化が……」とか言っちゃいけませんよ。


こういうときに活用してもらいたいのが、気象庁のサイトにある「レーダー・降水ナウキャスト 」。
これを見れば、今どこでどれくらい雨が降っているのか、これから雨域がどう移動していくのかがある程度判断できます。Yahoo!天気の「雨雲の動き」でも似たようなことはできますが、気象庁の方は10分単位でかつより細かい精度で予想してくれるので、ちょっとした移動の際には重宝します。
気象業界人の間では当然のように利用されている情報なんですが、一般の方はこういう情報が常に利用可能だということ自体ご存じないようなので……。
特にこういう大雨が続くときは非常に便利なので、ぜひご活用下さい。
何でこうまでプッシュするかと言いますと、大雨が降ることを事前に察知していれば防げた事故が最近多かったもので。ほんと、降るか降らないかわかっているだけで助かる命もあるんですから。
一般の方々も、受け身にならずに常日頃から積極的に気象情報を得るようになって頂きたいと、一気象予報士として切に願う次第です。
……ちなみに、どうでもいいんですが。誰が名付けたのか知りませんけど、「ゲリラ豪雨」って呼び方、どうにかなりませんかね。
今どきの若い人に「ゲリラ」なんて言っても何のことやらわからないでしょうし。ぶっちゃけ、ネーミングセンスが古いです。従来どおり「集中豪雨」でいいじゃないですか。こういう珍奇な名前は気象に対して妙な誤解を生むので、やめてほしいもんです。

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大雨に思う。” への2件のフィードバック

  1. おはようございます。
    さすがプロ、貴重な情報ありがとうございます。
    >「ゲリラ豪雨」って呼び方、どうにかなりませんかね。
    そうかー。今の若い人には「ゲリラ」なんて死語なんだー。
    我々全共闘世代(これも死語)には普通なんすけどね(笑)
    我々世代が現役から消滅するまでもう少し我慢してくだしゃんせ・・・・。

  2. こんばんは。
    お金稼いで食ってるという点ではプロではないんですが、一応正式に専門知識を認め
    られている者として、やはり言っておかねばならないと思いまして。
    >ゲリラ
    うーん、たぶん私くらいの世代がぎりぎりだと思いますね。
    それでも日常で滅多に使わなくなってしまった言葉ですし。
    そもそも、深刻な被害をもたらしかねない集中豪雨にゲリラ云々という俗っぽい表現を
    使うこと自体に疑問を感じるんです。
    ほんと、誰が言い出したんだかわかりませんが、困ったものです。

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