……総てが、終わったはずじゃなかったの?
自分「そのもの」の存在を感じる、それと私を呼ぶ声が――
意識が、だんだんクリアーに目醒めてくる。
ああ――そうか、私の「旅」が始まったんだね……
重力に呼び寄せられるまま、何も力を入れずに、流されてゆこう。ただ、感じる事と想う事はやめない。
いつか私が彼の星にたどり着く時を、夢見ながら――
目的地に着くまでの、無限の時を待ち続けて――…
………あぁ、気が付いたら、私は小さな分子の雲になっていて、たくさんの人々の想いと一つになってる。
――見えるよ、私を求め続けてくれたその星が。これから、降りしきって融け合うんだ……! 一つになる、至福の瞬間―――!!
……私は、「彼女」に逢えて、本当に嬉しい、良かったと思ってる。
けれど――私たちの未来に、「彼女」のような存在が現われる事の、決して、決して、ありませんように。
1996年5月12日 新宮智子
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