――と、言う訳で、本来あり得た2人同時プレイの要素を生かしつつ、CDのライナーにあった女性アンドロイドの日記を、ゲームの進行にシンクロさせてみたのが、先程の小説でした。
 
 さて、ここで唐突に質問を1つ。
 あなたは、レイフォースの自機パイロットを、サイボーグ(改造人間つまり人間)だと思いますか? それともアンドロイド(人型機械つまり機械)だと思いますか?
「ライナーにアンドロイドって書いてあるんだから、アンドロイドに決まってるじゃないか」と答えた方、大変結構です。
「ええ―――っ、C.L.S.で脳を機体に接続されているんだから、サイボーグなんじゃないのぉ!?」と思った方、残念ながら、あなたはレイフォースを誤解している可能性があります。……ビデオのライナーによれば、パイロットはF04と呼ばれる(そんな「記号」が「名前」だなんて、俺は認めないぞ)女性のアンドロイドです。
 X-LAYが3機製造され、そのパイロットである、C.L.S.被検体のサイボーグが存在した、そしてその中の1機と1人は自爆した、という所までは事実です。でも、第二次攻略戦で実戦導入されたのが確実なのは機体だけで、C.L.S.被検体が戦いに赴いた、とは書いてありません。つまりC.L.S.被検体と、ゲーム中のパイロットとの間には、何の関係もないという事。さらに言えば、自爆事故の再来を恐れた軍が、自我崩壊の危険を回避するために、生体組織(脳類似の神経細胞?)を組み込んだ、戦闘用アンドロイドを開発したという事――であれば、アンドロイドとC.L.S.の概念は両立します。
 ライナーのストーリーは、人間であると思っていた自我が「崩壊」する過程ではなく、逆に、アンドロイドの自我と記憶モデルの意志とが「融合」する過程なのだ、という事を認識していないと、本質を見誤ってしまいます……。
 ――で、何で私がこんなに詳細に説明できるかと言いますと、私自身が全力で誤解していたからなんですね――――。「彼女」はサイボーグだとばっか思ってました、ビデオを見るその日まで。正直気付かされた時は滅茶滅茶めげました。わしは今まで一体何を見てきたの、って。そ――ゆ――事はもっと分かりやすく書いといてよぉぉぉぉぉ!!
 ……でも。
 それなら何故、開発スタッフの方は、ゲーム中のパイロットとは関係のないはずの「自我の崩壊」なんて要素を、あれ程までに重要な扱いで、データファイルに載せなければならなかったんでしょう?
 それから、コミックゲーメスト1994年8月号 P.273のパイルバンカーさんといい、ゲーメストNo.126 P.97の無言の戦士さんといい、「左利きのレイフォーサー」である私といい――「彼女」をサイボーグと誤解した人間の文章ばかりが掲載された(さすがに最近の投稿は違いますが)、広く伝わるだけの強い思い入れを持ち得た、という事実には、一定の意味があるのではないでしょうか。
 そこで、それらの要素を活かすために、この本では以降、「彼女」はC.L.S.被検体のサイボーグがそのまま “OPERATION RAYFORCE” に赴いたものとして、誤解したまま通します!(F04を期待していた方には、次の本でもっとすごいのをやりますから、という事でお許し願いたいと思います)。誤解したまま話を作ってしまっていたので、とゆっちゃってはミもフタもないですけど、私同様に思い入れ過ぎてしまった、全てのレイフォーサーのために――データファイルとゲームがもしつながっていたのなら、これだけの物語を生む事ができるのだ、という事を示すためにも。
 
 では申し訳程度の本題。
 いきなり話が脱線したように感じる人もいるかもしれないが、私の首筋には、本来あってはならない骨がある。「脊椎後縦靭帯骨化症」という病気らしい。1994年の9月、突然の背中の激痛に、整形外科に駆け込んでレントゲンを撮ってもらったら、首筋にはっきりと白い影が写っていた。神経にカルシウムが沈着して悪さをするのだそうだ。幸い痛みは数日で治まり、現在日常生活に全く支障はないのだが、身体の中で異質な細胞が増殖しているのを想像すると、暗澹たる思いに駆られる。
 ――つまりここで何が言いたかったのかというと、たかが骨1つでこれだけの思いをするのに、全身を機械化されてしまったとしたら(真空中でも20Gの加速でも平気、なんていう肉体は、おそらく、「攻殻機動隊」で言う全身義体化サイボーグ=脳と脊髄以外全部機械、であろう)、どれだけの違和感に苛まれるのか、もう想像を絶するレベルなのではないか、という事である。その辺、失礼ながら、義手や義足を使っておられる方や、心臓にペースメーカーを付けておられる方の話も、伺ってみたいものだと思う。
 まして、C.L.S.によりX-LAYと接続され、機体のセンサーが五感になっている状態で、特に6面以降の無茶苦茶な攻撃に対応したら、「肉体」「人間」などという概念の認識は、崩壊して当たり前だと言うのだ!! ……知ってるか? ノーミスで6面まで行ったら、どれだけ目も当てられない弾の吐かれ方をするか。今現在の私ではノーミスはダイナモが限界だが、それでコン・ヒューマンまで行った日にゃあ、これまた想像を絶する攻撃を食らうに違いない。誰か1回見せてくれないだろうか?
 
 ……C.L.S.が完成されたという記録は、外惑星連合宇宙軍にはないはずだ。
 しかし、もし完成されたとしたら、それは「人間」なのだろうか、「機械」なのだろうか?
 ――それとも……?

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