1994年4月某日

 別段ゲームそのものに関心があった訳ではなかった。ゲーメストNo.107中表紙の「敵機をフリーズ、一気に破壊せよ。」というコピーを読んで、留学生射殺事件を思い出し、「あっぶねーコピーだなあ」などと思った位か。ただ、タイトルから見て曲は良さそうだと目を付けていたが、弟に「このCDは俺が買う!!」と押し切られてしまっていた。CDの発売は4月21日だったので、4月中には聴いていたはずだ。
 パソコン通信をやりながら、弟がかけていたのを小耳に挟んだのが最初。「なーんだこりゃ、古代さんだけでなくタイトーまでテクノに走ったかい」というのが第一印象。……しかし、第一印象が最悪だともうどうしようもないが、最悪に近い作品は、稀に大化けする事がある。サンダークロスⅡがそうだった。最初聴いた時は、こんなもんコナミじゃねえと怒り狂ったのだが、3回目には大ハマリしてしまい、ゲームを見にゲーセンにまで行ってしまった(ゲーメストNo.73 P.51「『あの曲が見たい!!』一期一会の“サンダークロスⅡ”」参照)。そして――今回はサンクロⅡの比ではない事態が待ち受けていたのだった。
 
 自分で聴くのに飽きたのか、数日して弟が「聴いていいよー」とCDを貸してくれた。おや、随分と豪華なライナーノーツ。へえええー、このストーリーと合わせて聴けばいいんだ。私ってゲームやれない人だから、CDばっか買ってきて勝手なイメージで楽しんできたけど、こりゃあ親切。……ふぅむ……アンドロイドを表現するには、テクノという音楽形態は納得できる。アニメの設定資料顔負けの MISSION DATA FILE もそそるねぇ。ただ、「高速で過ぎてゆく星がまるで水晶のように輝いて、そして、」……その先の答えがどこにも書いてないね。どうなったんだろう。
 聴き終えて部屋から出てきた時、ハイな顔になっていたであろう私に、弟は「好き系でしょ」と笑いかけた。
「うん、すげー趣味」
「ゲームはもっとスゲぇよ。絶対見る価値あるって。ゲーセン行ってやってみせたっていいぜ」
熱っぽく語る眼差しに、MISSION DATA FILE をぴらぴらと指でもてあそびながら、
「――ここまでされたら、もうゲームそのものを見に行くしかないじゃん」
と、私も笑って答えた。
(余談――私はあんまり熟読し過ぎて、ライナーを指の脂でべたべたにしてしまい、弟に「責任取れ」と怒られた。素直に反省してそのCDは私が買い取り、弟は新しいCDを買ってきた。だから私の家にはレイフォースのCDが2枚ある。)

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