1994年5月某日

 私――ちょっとおかしいよ。レイフォースの事気になってしょうがない。ゲームを見せてもらえばそれで済むと思ってたのに、イマジネーションが刺激されっぱなしだ。
 「彼女」の思いを知りたい。もうCDを聴くだけでは掴み取れまい、プレイしてみなければ決して分かるまい。
 でも、私なんかに、ゲームができる訳ないじゃない、なんたってガイアポリスで1画面で死んじゃうんだから(ゲーメストNo.116 P.106「私をガイアポリスへ連れてって」参照)。それなのに――退社後所用でよく訪れる代々木の、「AMUSEMENT SPOT M3」で、デモを眺めている自分がいる。
〈上昇する敵にサイトを合わせてロックオンします〉はい。〈Bボタンでレーザーを発射します〉そうですか。〈まとめてロックオンすれば、高得点が狙えます〉それはどうでもいいとして。〈地上の敵も攻撃することができます〉……ご親切な説明どうも。これならやれなくもないような気がする。
 そうして、目を離せないまま、「彼女」が姿を現す……敵機を撃破し、追い詰め、ロックオンして――次の瞬間、突然に!!
《ドキッ!!》
 な、な、何…今のっ!?
 聞こえた――よ、耳から物理的に聞こえる音じゃない、そんな事はわかってる、でも確かに感じた、スロットルレバーのボタンを押す瞬間の、「くっ!」という息遣いと、「彼女」の意思とを!「彼女」は、確実にそこに存在しているんだ!!
 ……もう、やってみるしかない。今日は遅いからもう帰るけど、近い内に必ず、貴女に逢いに行くから――そんな言い訳をして早足で駅に向かう途中、気付いた事が一つある。
 ――どうやら自分はこのゲームに、恋をしてしまったらしい。

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