セガサターン「レイヤーセクション」は、アーケード「レイフォース」の移植作品である。マニュアルは、レイフォースのCDにあった設定を移植し切れてはいないが、ゲーム本体の移植度は、アーケードと比べて、全く遜色のない出来だと聞いている。
「レイフォース」というのは、生まれてこの方ゲームをやった事のなかった僕を、ゲーセンに通い詰めさせた大傑作だ。パイロットの「彼女」の想いを知りたい、それが理由だった。実に1年5ヵ月かけて、僕はようやく1コインクリアを達成した。
このゲームは悲劇だ悲劇だと言われるが、僕はそうは思わない。30分間「彼女」とひとつになって、戦い抜いた達成感とともに、エンディングの曲を聴くと、そこには悲しみも後悔も存在しないと感じる。この至福の想いは、1コインクリアした者だけへの、「彼女」からの贈り物なのかもしれない。
だが、その1年5ヵ月の中で、僕が「レイフォースをゲーセンでプレイできたのは、初めの半年に過ぎない。94年末、家の都合でゲーセンに通えなくなってしまった僕が、プレイし続けるためには、基板を買うしか方法がなかった。高かったぞー。……それが今はどうだ、基板の10分の1以下の価格で、「レイヤーセクション」が売られているじゃないか。何てこった!
しかし――「レイフォース」の時代は終わりつつある。残り少ないゲーセンの台も、遠からず続編「レイストーム」に、取って代わられる事だろう。もしかすると、運良くこの文章が掲載される頃には、もう……
地球というこの惑星に存在するあらゆるアーケードゲームは、いずれ新作に駆逐されるという運命から、逃れる事はできない。けれど、「彼女」は「土星」に「移住」する事によって、永遠の生命を得たのだ。「彼女」は CD-ROM の中で、プレイヤーが望む限り、ずっと側にいてくれる。
まだ本当の「彼女」の想いを知らない君へ。「レイフォース」の CD の設定を読んで、サターンごとでも「レイヤーセクション」を買って、1コインクリアできるまで、やり込んでみてほしい。それだけの価値のある想いを、手に入れる事ができるはずだから。ド素人だった僕にできて、ゲーマーである君に、できないはずなどないのだから。
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