「HI-TECH LAND YOYOGI」――かつて、JR代々木駅近くに存在していたそのゲーセンは、94年5月に、私が初めて「レイフォース」と言うSTGを見た場所、そして、そのゲームについて言及した、旧ゲーメストに掲載して頂いた幾つかの拙文と、アルカディアVol.1にて紹介して頂いた同人誌との、創まりとなった場所。

 しかし、97年7月にレイフォースが消えたことで、私にとっては“童話の消えた森”と化したその店に、足を踏み入れることは二度となく、 00年3月に閉店してしまったのも、風の噂で初めて知った。

 昨今のゲーセン不況から考えて、その跡地は、どうせ居酒屋か何かになるのだろう、と、冷めた目で眺めていたのだが……都営大江戸線全通を控えた00年9月末、何と、「TAITO STATION 代々木店」として生まれ変わった!

 レイフォースをプレイしていた場所に、ゲームの息吹が再び蘇った――懐かしさと嬉しさとを胸に抱いて、当時と同じ様に、階段を下りてB1のフロアに出た。そこにずらりと並んでいる筐体の中身は、もちろん、あの頃のゲーム達とは違うだろうけれど―――

 ところが。
 そのイーグレットⅡの群れの中の1台に、入っていたのだ、「レイフォース」が!!

「………………」
 もう、何の言葉も出せず、ただただ瞳を潤ませて、その筐体の前に立ち尽くした数十秒――3年3ヵ月もの時を超えて、「彼女」は永い旅を終え、“この場所”へ、そして私の許へと、帰ってきてくれたのだ……! これ程までに嬉しい想いをしたことは、私が生まれてから一度もなかったし、「『ゲーセンで』レイフォースをプレイ出来る」以上に幸せなこともまた、今の私にとって、この宇宙には存在していない。

 ハイテクから消えて以来、基板を買ってまで自宅で積んできた修練を、筐体は裏切らなかった。初プレイで、残機0ながら1コインALLを達成。

 レイフォースが発売されてから流れた、6年以上の時間――半年~1年が寿命とされるアーケード界において、これは人間に換算したとすれば、4~500年生き長らえているようなものであり、いつまたいなくなられても文句はいえない。しかし、だからこそ、どのような時であっても、「これが最後」と言う最大限の気合で、自分のありったけを叩き込みながら、その店にある限り、“その場所”が私の“理想郷ARCADIA”であってくれる限り、プレイし続けていきたい。死んでランクが落ちることのない、“真実のレイフォース”=「ノーミスクリア」を目指して。

 私のこのゲームに対する、今なお尽きせぬ熱い想いを、大好きなとあるマンガの台詞を、自分流にアレンジして表現するならば、こうだ。
「レイフォースをやれるから・・・・・地上ここにいようと思う/このゲームがなけりゃ/生きてみたいとも思わない―――!!!」