レイフォースの最初のサウンドトラックである「サイトロン2000シリーズ レイフォース」にブックレットとして同梱されていた、「ZUNTATA MUSIC BOOK」。これには、レイフォースのBGMの作曲者であるTAMAYOさんが作曲の際にイメージされたコンセプトが収められています。レイフォースの世界をより深く味わう上での貴重な資料ですので、ここではそれを「RAYFORCE IMAGE FILE」と名付けて再掲したいと思います。
なお、原本にはそれぞれの文章にイメージ画像がつけられているのですが、それをそのままスキャンして使用するのははばかられましたので、ここではそれらに近いイメージのグラフィックを新たに作成して掲載しています。


PENETRATION ~MIND BOMB~

PENETRATIONイメージ画像

 気がつくと私は閃光と爆音の中にいた。まだ頭がふらつく。急激な降下で一瞬気を失っている間におかしな夢を見た。平和な国でごく平凡な学生をしている夢だった。それはとてもリアルで恋人の手のぬくもりがまだ私の肩に残っているような気がした。ニアミス! 慌てて機首を持ち上げて回避する。友軍機のパイロットがこちらに向かって何か怒鳴っている。一瞬、怒りが身体を突き抜けた瞬間、真っ赤な光が走りその友軍機が撃墜された。すぐにレーダーで周囲を確認したが敵機は見あたらない。…また起こってしまった。


G ~雪のように降りしきる彼女の為に~

 帰艦すると私は真っ先に、先程の奇妙な出来事について上官に報告した。それからシャワーを浴び、そして、裸のまま大きな窓の前に立つ。私が死んだら…、願いどおり宇宙に流されるだろう。重力の狭間をゆらゆらと漂いながら、一番強い力に呼び寄せられて旅を続ける。気が遠くなるほどの長い年月が経ち、すべてが小さな分子に分解された肉体は、なお私を求め続けてくれたその星にたどり着く。それから、音もなく静かに、そう、まるで雪のようにきらきらと降りしきるのだろう。


VISION ~不確かな残像~

 ここは、夢の中だろうか? 操縦席に座っている私が見える。そっと、近付いて顔をのぞきこむと、そこには私ではない私がいた。皮膚の一部が銀色の物質に変化したアンドロイド。何かを破壊するごとにその銀色の肌はいよいよ輝きを増し、身体の中からは何かが失われてゆく。それが何なのか、気づかない内にその白銀色の細胞は以前にもまして増殖して、都合のいい幻想で私をだまし続けるのだろう。


CRACKING! ~鏡の裂け目~

 目覚ましのベル? 遠くで私をよんでいる。慌てて飛び起きて時計を見た。今までのはすべて夢? 混乱する頭のまま、鏡に映った自分の顔を見て、思わず悲鳴をあげる。夢で見たあの銀色の顔。これは夢の続き…。あとずさると、ぴしっと音をたてて鏡が割れ、その裂け目に吸い込まれ落ちていった。落下しながら色々な世界にいる自分を見た。パラレルワールドへの裂け目。笑い声、叫び声、色々な姿と表情の自分を見ながら、幼い頃、やっぱり同じ裂け目に落ちて同じ光景に出会った事を鮮明に想いだした。『あれから、私は何処へ行ったのだろう?』


INTO DARKNESS ~死にたくなる程、ロマンティックな闇~

 そこで突然目が醒めた。汗で背中までぐっしょり濡れていた。明かりもつけずにしばらくぼんやりと先程の夢について考えていた。子供の頃から私は一人で暗闇の中で遊ぶ事ができた。パイロットを志願し続けたのも、宇宙という広大な闇の中でこそ限りなくイマジネーションを解放する事ができると分かっていたから。目をつぶる闇とは違う、真実の闇。エロティックなイメージも、ロマンティックなダメージも、ありとあらゆるすべてのものを闇は創造してくれる。青く輝くこの惑星すらも誰かのちっぽけな想像から生まれたに違いないのだから…。


MÖBIUS ~永遠と並列~

 頭痛がひどい。ここ何日かの記憶があまり確かではない。私に何かが起こっている。いつまでも続く悪夢、色々な世界の自分。合わせ鏡が無限の鏡を生み出すように、私の中にある何かが偶然、別世界に生きる誰かの何かとぴったり向き合ってしまったのだろうか? それとも行っても行ってもきりのない永遠のメビウスの環の中に偶然迷いこんでしまったのだろうか? その環の中に入り込んでしまった私は何かの解答を見つけられない限り永遠にこの終わりのない世界をさまよい続けるかもしれない……。


QUARTZ ~水晶~

 これが最後になるような気がする。透明な淡い光に私は今包まれている。私自身も知らない指示がどうやら、私の中にIN PUTされているらしく、もう自分で自分を制御する事ができない。
 …私はアンドロイド… 今、はじめて、そう自覚した。私の記憶モデルが持っていた強い意志と私の戦闘行動とのギャップが、思考回路にエラーを与えていたのだろう。もう時間がない、高速で過ぎてゆく星がまるで水晶のように輝いて、そして、